2020年2月2日

報告:1/26(日)「多様性を育む美術プロジェクト」関連イベント「絵画ワークショップ&ファシリテーション講座」

先月1月26日(日)、現在開催中の展覧会「多様性を育む美術プロジェクト」の関連イベントとして、

絵画ワークショップとファシリテーション講座を開催しました。

※展覧会の詳細はこちらから → 

 

講師は美術家の西村陽平さん。

絵の具をつかった作品づくりです。

 

今回のワークショップでは、何か物を見てそれを写し描くのではなく、

絵筆やハケ、ローラー、木片などさまざまな道具を使うことで生まれてくるおもしろいカタチから新しい表現を自由に楽しく作ります。

どんな作品ができるのかわたしたちもワクワクしてワークショップにのぞみました。

 

まずはみんなの自己紹介から。

その後西村先生がどんなふうに作品をつくっていくか簡単に説明してくれました。

 

 

最初は2つのグループにわかれ団体作品を作ります。

 

ルールは2つだけ。

1つ、好きな絵の具と好きな道具を1つずつ選ぶ

1つ、順番に線を描いてつないでいく

このルールを守りながら自由に制作します。

 

 

 

使う道具がかわると線の表情もかわります。

ぐるぐるまわる線

かくかくした線

ふとい線

ほそい線

ぐにゃぐにゃした線

 

最初は前の人が描いた線にかぶらないようにちょっぴり遠慮がちに描いていたこどもたちの線。

どんどん画面がうまっていくとそうもいかなくなりこどもたちもどんどん大胆になり、線が重なり合っていきます。

 

 

 

 

画面がだいぶうめつくされてきたら西村先生から声がかかりました。

西村先生のまわりに集まるこどもたち。

なにやら新しい道具(!)を手に入れたようです。

 

 

手渡されたのはさまざまなサイズの円柱型の木片。

これをハンコのようにして線の上にぽんぽん押していきます。

ここでのルールは一つ。

「線の上にのせること」

 

ぽんぽん

ぽんぽん

 

 

線の上に丸いカタチがのることでまた新しい表情がうまれました。

 

 

こどもたちは最初の静かな雰囲気から一変。

最初は「これでいいのかな?」と手のうごきにも迷いがあったこどもたちが、

次第に自由になっていく様子が手に取るようにわかり、

近くでみていた私たちも驚きました。

 

 

続いては個人作品にうつります。

自由と大胆さを手に入れ、手も服も汚れはじめたこどもたちに迷いはありません。

 

そこにさらに西村先生から新たな道具(!第2弾!)が手渡されました!

なんとスーパーボール!

スーパーボールを絵の具にぽちゃんとつけて、画面の上にのせます。

そして転がす!

 

 

 

 

すると絵筆やハケとも違うなんともいえない線・カタチが現れました。

こどもたちは画面上を予測できない動きをして走り回るスーパーボールに夢中。

コロコロ転がしては歓声があがります。

 

自由な雰囲気はどんどん大きくなって、

西村先生が画面に直接絵の具をたらし、

たれた絵の具を三角や四角の木片でひろげていく方法を見せると

こどもたちの顔がぱぁっと輝きます。

「こんなこともしていいの?」

「よごれちゃってもいいの?」

みんな本当に楽しそうで見ている大人たちもあったかい気持ちになりました。

 

 

 

 

完成した作品の一部は2/23(日)まで藁工ミュージアムエントランスにて展示しています。

ぜひ展覧会「多様性を育む美術プロジェクト」と合わせご覧ください。

 

 

 

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こどもたちとのにぎやかなワークショップが終わった後は

ファシリテーション講座にうつります。

 

ファシリテーションとは、

ワークショップや会議などの場で、参加者の発言や行動をうながしたり、

その場の雰囲気や様子をみて、ワークショップや会議がうまくいくようサポートすること。

その役割を担う人をファシリテーターと呼びます。

 

今回は障がいのある方たちの創造性を活かしながら作品制作を行うために、

ファシリテーターは現場でなにをしていくことが必要なのかを

西村先生にお話ししていただきました。

 

 

学校や自宅では様々な制約を受けているこどもたち。

「汚しちゃダメ」「たっちゃダメ」

そんな制約をとっぱらったのが今回のワークショップ。

 

 

1つのルールを設けつつも普段使用しないハケやたっぷりの絵の具を使うことで

徐々にこどもたちの体が動き始めてきました。

 

自由に手や体が動くまでの時間が大切で、

ファシリテーターはこどもたちが動き出したら

その動きを誘導し、完成まで持っていきます。

 

自由にさせすぎても絵として完成しないため、適格な誘導が大切。

ファシリテーター自身に「こうなって欲しい」という感覚、

完成時の見極めが必要です。

 

 

今回のワークショップでこどもたちの表情や動きがどんどん変化していったのは

西村先生が完成にいたるまでの環境や条件を準備していたからこそ。

西村先生が全体を見守りながら、ときどきこどもたちに声をかけて

ゆったりと自然に完成へとみちびいている様子がうかがえました。

 

「自分が感じていないことは表現できない。

感じていれば上手、下手に関係なく、表現できる。」

西村先生が最後におっしゃったこの言葉がとても印象的でした。

 

まずは自分も感じること。

そしてどうすればこどもたちが感じることができるのかを考え、その環境を整える。

ファシリテーターとしてすべきこと、気を付けるべきこと、できることが

ワークショップと西村先生のお話しを聞いて感じることができました。

 

 

絵画ワークショップ、ファシリテーション講座にご参加くださったみなさん、

講師をつとめてくださった西村先生、

企画してくださった伊地知さん、

会場を提供してくださった高知県立美術館さん、

本当にありがとうございました。