2021年5月10日(月)よりWEB公開中

WARAKOH think and feel 東北 vol.4 10年目の今考える『フォト&エッセイ』公募作品

2021年3月1日(月)~5月9日(日)の期間中当館で開催した、東日本大震災を考える企画展「10年目の今考える」。その中で紹介した写真とエッセイによる全国公募作品を、本WEBページでもご紹介します。

CONCEPT

「震災当時に感じたこと・気付いたこと」「どうしても忘れられない思い出」「今、伝えたいこと」などを表現した「フォト&エッセイ(写真と文章による作品)」を紹介します。

昨年12月から本年2月上旬にかけ、全国の美術館・博物館などの公共施設や公募サイト、SNS等に公募情報を公開し、作品や参考資料、お便り等が届きました。今回ご紹介するのは全15作品。岩手県、宮城県、福島県の東北3県出身・在住の方、また、静岡、大阪、高知、ドイツ在住の方から集まった作品は、生まれ育った地域の違いだけではなく、世代や職業、考え方などもまったく異なり、応募者1人1人がそれぞれの視点で捉えたことが表現されています。中には、個人の宗教観や政治観が感じられるものもありますが、作者を取り巻く環境や境遇が作品に反映されることを前提に、編集などは行わず、お送りいただいた作品はそのままの形でご紹介いたします。白紙の写真も作者の意向を確認した上での作品です。
ご鑑賞の際、観る人によって、共感できるもの、複雑な気持ちになる作品など、様々な思いが溢れてくるかもしれませんが、1作品ごとに気持ちを入れ替えながら、それぞれの作品をじっくりご覧いただけますと幸いです。
なお、月日の流れに伴い刻々と社会は変わっていくことと思いますが、ここに展示されている作品の内容は、公募を終了した2月上旬までの作者の心情が表現されたものとなっていることをご了承ください。

応募者一覧 (応募者名をクリックいただくと「フォト&エッセイ」作品がご覧いただけます) ※順不同

広田 泰

佐々木 ホゲット

木村 吉貴

坂本 茂雄

河上 輝久

綿引 展子

お山のたぬき

海乃 仁柊

大廣 将也

松澤 知明

永野 未来

浜田 一彦

畑中 奈緒

乾 久子

Ko

 

■画像をクリックすると、展覧会全体の様子がご覧いただけます。

 

■展覧会「WARAKOH think and feel 東北 vol.4 10年目の今考える」について

「WARAKOH think and feel 東北」は、展覧会を通じて東日本大震災を考える当館の企画展シリーズです。2013年より始り、4回目となる今回は「10年目の今考える」ことをテーマに据えました。

震災当時から10年が経つ今も、津波と福島第一原発事故による被害がもたらした未解決の問題は多くあります。それらの問題は一朝一夕に解決・解消することはできません。そして、問題の中には可視化できないものや、可視化できる解決・解消の手法を持たないものもあります。そういったことに対し少しでも歩みを進めていくためには、東北地方で暮らしている方だけでなく本県を含む東北地方から離れて暮らす方々も一緒に、私たち一人一人が寄り添い、考えていくことが不可欠です。また現在、新型コロナウイルス感染症に起因した急激な暮らしの変化に誰しもが直面していることと思いますが、それに対応していく上でも「考えること」「思考する力」がより一層必要になってきたようにも感じられます。

この10年という時間の節目を機に、改めて東日本大震災に向き合い、各々がそれぞれの視点で考え思考を巡らせていく機会をつくれればとの想いから、本展を企画しました。

本展が、当時を振り返ることや被災地のこれからについて考えること、今後本県でも想定されている南海トラフ大地震への防災・減災に対する再認識など、鑑賞者それぞれの視点で様々なものごとに考えを巡らせるきっかけに少しでも繋がりましたら幸いです。

展覧会「WARAKOH think and feel 東北 vol.4 10年目の今考える」詳細はこちら

 

■「WARAKOH think and feel 東北」シリーズについて

展覧会を通して東日本大震災を考える企画展シリーズとして、2013年から当館で開催しています。これまで開催してきた展覧会を紹介します。

「ワタノハスマイル展 100のオブジェ 100のともだち」 2013年9月8日(日)-10月6日(日)

東日本大震災で津波の被害が甚大であった場所の一つである宮城県石巻市の渡波(わたのは)地区。震災後、当地区の避難所となった渡波小学校で立ち上げられたワタノハスマイルプロジェクトのなかで、「がれき」を素材に子どもたちがつくり出したオブジェ作品を紹介しました。また、関連イベントとして、ワタノハスマイル代表・犬飼とも氏によるトークイベントや、犬飼氏を講師に、海に落ちていたもモノでオブジェをつくるワークショップも開催しました。

・「変わったもの、変わらずにあるもの」 2014年2月23日(日)-4月13日(日)

東北在住もしくは出身の作家7名を紹介する展覧会。環境や状況の変化など震災の影響により一時的に絵を描くことができなくなったり、作風に変化のあった田島飛鳥と水沼久直、震災前と変わらず制作を続ける青木尊、似里力、本田太陽、2014年時点で作品制作をしていない武田拓による絵画や立体作品を展示。また、岩手県陸前高田市出身の写真家・畠山直哉による3.11以前・以後の写真それぞれ60点を、2枚のスクリーンに同時投影しました。会期中、出展作家によるトークイベントも開催しています。

「暮らしの記憶、繋がる思い、紡がれていくことばたち」 2017年9月23日(土)-10月29日(日)

東日本大震災で、津波・地震による被害に加え、東京電力福島第一原発事故による放射能汚染という甚大な被害がもたらされた福島県。そこで、震災をきっかけとしたコミュニティーの崩壊、地域間の課題の差異による分断を回避するために行われた「はま・なか・あいづプロジェクト」。事故当時の風向きにより原発から約50㎞以上離れているにも関わらず、全村避難となった福島県飯舘村で行われた「飯舘村の記憶と記録プロジェクト」での岩根愛さんによる写真を中心に、「ふくしま」「いいたて」から連想されたことばとドローイングがリレーしていく「くじびきドローイング」を紹介しました。

また、「いいたてミュージアム までいの未来へ 記憶と物語プロジェクト 2017巡回展」と「筑波大学コトノハチーム」による絵本の展示と紙芝居上演も同時開催。その他、トークイベント「アートプロジェクトを考える」、「地域におけるミュージアムの役割ってなんだろう」や、作家・乾久子氏によるワークショップ「くじびきドローイング」も開催しました。