9月23日(土)〜10月29日(日)

WARAKOH think and feel 東北 vol.3
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A→Z(アートゾーン)で考える

暮らしの記憶、繋がる思い、
紡がれていくことばたち

東日本大震災の原発事故により全村避難となった福島県飯舘村。土地から離れることによる文化断絶の不安を回避するために行われた、村民への村での暮らしの記憶を聞き取り、記録するアートプロジェクト。本展ではそのプロジェクトの紹介を中心に、「ふくしま」「いいたて」から連想されたことばとドローイングも紹介します。

平成29年度高知県芸術祭助成事業「KOCHI ART PROJECTS 2017」

CONCEPT

2011年の東日本大震災。福島県には津波・地震による被害に加え、東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能汚染という甚大な被害がもたらされました。
震災をきっかけとしたコミュニティの崩壊、地域間の課題の差違による分断を回避するために行われた「はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト」。
本展では、事故当時の風向きにより原発から約50㎞も離れているにもかかわらず、全村避難となった福島県飯舘村で行われた「飯舘村の記憶と記録プロジェクト」での岩根愛さんによる写真を中心に、「ふくしま」「いいたて」から連想されたことばとドローイングがリレーしていく「くじびきドローイング」※も紹介します。

本展を通じ、高知県が直面している南海トラフ大地震を含め、過疎高齢化や若者流出によるコミュニティの消失や文化断続の危惧への課題に向き合い、また、遺し伝えていくべき文化について考えるきっかけになることを願っています。
そして、時がたつにつれ、震災当時の記憶が風化するとともに関心が遠のきつつある今、その現状を再度考える契機となり、微力ながら復興支援にもつながれば幸いです。

※「くじびきドローイング」とは・・・コミュニケーションをテーマとするワークショップ。「くじ」を引き、そこに書かれている「ことば」をお題に絵を描いたあと誰かへの「ことば」をくじに残す。その言葉は誰かに引かれて絵になる、というように、言葉と絵で人や場所をリレーしていくもので、全国各地、あらゆる人たちを対象に展開されている。

会  期:2017年9月23日(土)~2017年10月29日(日)
開館時間:10:00~18:00
休  館  日:火曜日 ※2017年9月26日(火)はイベントのため20:00まで特別開館します。
会  場:藁工ミュージアム(〒780-0074 高知市南金田28アートゾーン藁工倉庫)
観  覧  料:無料
主  催:藁工ミュージアム
協  力:はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会、乾久子、いいたてまでいの会
助  成:平成29年度高知県芸術祭助成事業「KOCHI ART PROJECTS 2017」

作家プロフィール

岩根 愛 Ai Iwane

東京都生まれ。写真家。ハワイの日系人文化や、世界の多様なコミュニティについての取材を続けている。ハワイで1930年代に日系人が集合写真撮影に使用していたパノラマカメラで、原発事故により変化している福島県内の避難区域の撮影を行っている。

乾 久子 Hisako Inui

1958年 静岡県生まれ。美術家。 東京学芸大大学院修士課程修了。国内外での個展、グループ展多数。2008年にくじびきドローイングワークショップを始め、全国各地で展開中。多くの人、もの、ことを言葉と絵でつないでいる。

展示予定作品

飯舘村の記憶と記録プロジェクト

Island in my mind Chieko Sasaki, Sasu-Tougeshita, Iitate, Jun. 2015 /photo:Ai Iwane

Island in my mind Chieko, Muneo and Tsugio Kanno, Sasu-Nameri, Iitate, Jun. 2015 /photo:Ai Iwane

くじびきドローイング

関連イベント

ワークショップ「くじびきドローイング」

言葉が書かれたくじを引き、それをお題に絵を描きます。描いた絵にくじに書かれた言葉を貼ったら完成です。そして今度はあなたが言葉を誰かに残す番。あなたの言葉がくじとなり、誰かによって絵となっていきます。完成した作品は会期中展示します。
日 時:2017年9月23日(土・祝)10:00~12:00、2017年9月30日(土)13:00-16:00
会 場:藁工ミュージアム 展示室内
参加費:無料
講 師:乾久子(美術家)
※会期中、講師はいませんがくじびきドローイングは常時していただけます。

トークイベント「アートプロジェクトを考える」

近年、各地でアートプロジェクトが行われています。その多くで、アーティストが地域に滞在して作品制作を行うレジデンスプログラムがなされていますが、地域とアーティスト、アートをつなぐ幸せな関係とは何でしょうか?地域に根差したアートプロジェクトとは?地域の魅力を発信し、アーティストインレジデンス『現代地方譚』の運営などにも携わっている佐々木ホゲット氏、『イノビオーダー』など地域活性化を目的としたアートプロジェクトに参加する玉木かつ子氏を高知からのゲストに迎え、会場のみなさんとともに、アートプロジェクトについて考えます。
日 時:2017年9月23日(土)13:30~16:00
会 場:藁工ミュージアム 展示室内
参加費:無料
定 員:20名
ゲ ス ト:川延安直(福島県立博物館学芸員)、小林めぐみ(福島県立博物館学芸員)、乾久子(美術家)、佐々木ホゲット(須崎市地域再生マネージャー、アーティストインレジデンス須崎運営メンバー)、玉木かつこ(造形作家)

トークイベント「地域におけるミュージアムの役割ってなんだろう?」

私たちの暮らしの中には脈々と受け継がれているその地域ならではの風習や習慣があります。それは文化財として価値づけられるものではないかもしれませんが、日常の営みの中にこそ、遺し、伝えていくべき「文化」があるのかもしれません。何を文化と捉え、遺し伝えるか。ミュージアムの役割とは。地域住民と密に関わりながら活動をしてきた、している方々を高知からのゲストに迎え、会場のみなさんとともに考えます。
日 時:2017年10月29日(日)13:30~16:00
会 場:藁工ミュージアム 展示室内
参加費:無料
定 員:20名
ゲ ス ト:小林めぐみ(福島県立博物館学芸員)、筒井聡史(高知県立高知城歴史博物館企画員)、中村茂生(安田町教育委員会文化振興企画員)、横田恵(創造広場アクトランド学芸員)

【同時開催】
いいたてミュージアム までいの未来へ 記憶と物語プロジェクト

いいたてミュージアムとは、東京電力福島第一原子力発電所事故により全村避難となった飯舘村のこと、飯舘村に起こったことを福島県内外に広く発信し、未来の世代へも伝えていこうというプロジェクトです。

村民のみなさんのお宅へお伺いし、みなさんにとっての「古いモノ」「大事なモノ」「歴史的なモノ」を見せていただき、それにまつわるお話を集めてきました。「モノ」にまつわるお話から見えてきたのは震災・原発事故前の豊かな村の姿でした。

集まった飯舘村のみなさんの「モノ」と「言葉」を紹介する巡回展を平成25年からスタート。今年度、福島県外行う2回の巡回展のうちの1回です。

藁工ミュージアムで開催する「いいたてミュージアム」が、高知と福島をつなぎ、ともに考える場となります。ご覧くださるみなさまに「モノ」が語る力から、「までい(丁寧なという意味の方言)」な物づくり、村づくりをしてきた飯舘村の暮らし姿をお伝えいたします。

会  期:2017年9月23日(土)~2017年10月29日(日)
開館時間:10:00~18:00
休  館  日:火曜日 ※2017年9月26日(火)はイベントのため20:00まで特別開館します。
会  場:藁工ミュージアム(〒780-0074 高知市南金田28アートゾーン藁工倉庫)
観  覧  料:無料
主  催:いいたてまでいの会
共  催:藁工ミュージアム
助  成:平成29年度福島県ふるさと・きずな維持・再生支援事業

いいたてミュージアム勉強会/テーマ「高知×いいたて×静岡 いいたてに学ぶ」

農業という立場から飯舘村の再興に取り組んでいる菅野宗夫さん、これまでの活動、これから目指していること、伝えたい飯舘村からの教えをお聞きします。

また、静岡市で実施した「いいたてミュージアム巡回展2015」の主要メンバーとして開催に尽力し、静岡での東海沖地震や浜岡原発事故への防災意識の形成に文化的にアプローチしている静岡大学の平野雅彦さんもお招きし、日本各地への警鐘としてのいいたてミュージアムの意義についてお聞きします。

日 時:2017年9月24日(日)13:30~15:30 
会 場:藁工ミュージアム 展示室内
参加費:無料
定 員:30名
ゲ ス ト:菅野宗夫(特定非営利活動法人ふくしま再生の会副理事長)、平野雅彦(静岡大学教授)
主 催:いいたてまでいの会
共 催:藁工ミュージアム

 菅野 宗夫 さん( 特定非営利活動法人ふくしま再生の会副理事長)

認定NPO法人 ふくしま再生の会副理事長。飯舘村農業委員会会長。1951年生まれ。畜大卒業後農業自営。震災前より「山のこだわりや」として都会の消費者に大地の恵みを届ける。震災後の2011年6月に「ふくしま再生の会」を立ち上げ、飯舘村の再興に取り組んでいる。

 平野 雅彦 さん( 静岡大学教授)

国立大学法人静岡大学 教育学部特任教授、人文社会科学客員教授。専門は、広告・広報、アートマネジメント。授業の取り組みでは、多くの学生プロジェクトをおこし、第28回日本新聞協会賞広告主部門優秀賞受賞をはじめ、3年連続5賞受賞に導く。ふじのくに文化情報センター長(静岡県文化財団)。

【同時開催】 
「筑波大学コトノハチーム」による絵本の展示と紙芝居上演会

震災以前の故郷にあった豊かな生活と誇りを被災地に生きる子供たちの心の中に蘇らせるため、南相馬市の仮設住宅にて行われた「コトノハプロジェクト。そこで再現された、楽しい昔話の絵本の展示や紙芝居を上演します。

絵本の展示

会  期:2017年9月26日(火)~2017年10月29日(日)
開館時間:10:00~18:00
休  館  日:火曜日 ※2017年9月26日(火)はイベントのため20:00まで特別開館します。
会  場:藁工ミュージアム(〒780-0074 高知市南金田28アートゾーン藁工倉庫)
観  覧  料:無料

紙芝居上演会

「筑波大学コトノハチーム」が紙芝居を上演します。

日 時:2017年9月26日(火) 15:00~、17:00~、19:00~ (所要時間30分程度)
会 場:藁工ミュージアム(〒780-0074 高知市南金田28アートゾーン藁工倉庫)
参加費:無料
定 員:各回10名程度
主 催:筑波大学コトノハチーム(復興庁「心の復興」事業)