2017年6月25日

「ちいさな蔵の展覧会2017春」出展作家 澤井菊美さん来館

梅雨らしいお天気が続くようになりました。

 

先日、現在開催中の展覧会「ちいさな蔵の展覧会2017春」

出展作家の澤井菊美さんが来館してくださいました。

 

 

澤井さんは1934年生まれ。高知県在住。

絵を描き始めたのは10年ほど前から。

それまでは絵を描くことはほとんどなかったというので驚きです。

今回展示している作品はそのほんの一部。

今までに100枚以上の作品を描かれています。

どれも年齢を感じさせない鮮やかな色使いの作品ばかりです。

 

カラーペンや色鉛筆で動物や人物、植物などを描かれており、

画面全体がしっかりと塗り込まれています。

空の塗り方には特徴があり、

周囲は色鉛筆の筆跡がわかるような線が濃くひかれ、

中心は薄くぬり残されています。

 

 

 

モチーフとなる動物や人物の表情、かたちも

澤井さん独特のタッチで描かれています。

どこかでみたことのあるようなキャラクターもたくさん描かれていますので

探しながら観てみるのも面白いかもしれません。

 

 

来館されたときにも、

「これはウサギ」

「こっちはこいのぼりとそれを眺めているうしたち」

「これはサンタさんのおまつり」

など絵に描かれているモチーフについて

たくさんお話ししてくださいました。

 

ほとんどの作品が四つ切画用紙に描かれていますが、

今回1点だけ異なるかたちで描かれた作品を紹介しています。

それがこちら。

「不思議の国のアリス」

12枚組の作品です。

今までに何度か澤井さんの作品を目にする機会があったのですが

(澤井さんは※スピリットアート(障害者美術展)に10数年にわたり出展を続けられています)

この作品を観たときは、今までとはちがう、

高揚感を感じたことを覚えています。

「不思議の国のアリス」が澤井さんの視点でどう描かれているのか

ドキドキしながら鑑賞しました。

やはりそこには澤井ワールドが広がっており、

同じ「アリス」でも描く人がかわればこんなにも表情が変わるんだなぁと

澤井さんの独特の世界観で描かれた

アリスやシャムネコなど登場人物たちの表情やその背景に釘付けになりました。

 

プロジェクターで12作品すべてを1点ずつスライドショーで紹介しています。

1作品ずつページをめくるような気持ちでぜひゆっくりとご覧ください。

この作品の元になった絵本も展示室内で閲覧できます。

まずは澤井さんの作品をゆっくりみてから

元の絵本と見比べてみてもらうのがおすすめです。

 

 

「ちいさな蔵の展覧会2017 春」は7月30日(日)まで。

ぜひ足をお運びくださいね。

ちいさな蔵の展覧会 2017 春

 

スピリットアート(障害者美術展)

1997年より開催。高知県在住もしくは出身の障がいのある方から作品を公募。「芸術作品としての生命感を持ち、心動かされる優れた作品を顕彰し、障がいのある方の文化活動を促進するとともに、障がいのある方に対する県民の理解を深める」ことを目的に開催。

障がいのある方の美術作品をこのような観点から取り上げる試みは全国的に見ても大変早く、他県にはないユニークは展覧会として高く評価された。2017年には21回目を迎える。

(2013年 スピリットアート展のあゆみ ~プロローグ 見て、感じる。~図録/制作・発行 藁工ミュージアム より抜粋)